がんワクチン療法(オンコアンチゲン・ネオアンチゲン)

Cancer Vaccine Therapy

がんワクチン療法とは

がんワクチン療法(ネオアンチゲン・オンコアンチゲン)とは、がん抗原ペプチドを投与することで抗腫瘍免疫応答への働きかけをコンセプトにした治療法です。

樹状細胞療法と併用することで、より迅速な効果を発揮することが期待できます。

がん(ペプチド)ワクチンとは

がん(ペプチド)ワクチンとは、がんの目印となるワクチンを体内に投与することで、がん細胞を標的とした免疫応答を誘導する治療です。

がん細胞は特殊なたんぱく質を作り細かく分解してペプチドを作ります。これがいわゆるがんの目印=がん抗原です。

がん細胞特有の抗原由来のペプチド(9~20個ほどのアミノ酸でできている)をワクチンとして患者さまに直接投与し、がん細胞の目印を樹状細胞が認識し、その情報をキラーT細胞に伝えます。

目印を覚えたキラーT細胞は体内を巡り、がん細胞を攻撃します。

がんワクチンの仕組み

樹状細胞療法との違い

当院の樹状細胞療法では、血液検査で反応のあったペプチドを選択してワクチンとして搭載しています。

樹状細胞療法の説明

樹状細胞療法とネオアンチゲン・オンコアンチゲンでは、

基になる情報が

樹状細胞療法 患者さまの採血時における血液中のがんのメモリー情報
ネオアンチゲン 患者さまご自身のがん細胞にだけ起こっている遺伝子変異により新たに作られたがん抗原。その患者さまにだけ使用可能
オンコアンチゲン HLAの型や疾患の種類により、共通して使用することが可能

 

という点で異なります。

 

樹状細胞療法についてはこちら

がん(ペプチド)ワクチン療法の種類

ネオアンチゲンペプチドワクチン療法

ネオアンチゲンとは、患者さまのがん細胞のみで起きている遺伝子変異を特定し、免疫治療のターゲットとして同定された分子(タンパク質)のことをいいます。患者さま本人のがん細胞の目印となります。

生検サンプルや手術の標本を用いて変異遺伝子解析を行い、患者さま固有の「特異的」なワクチンを作成致します。

【特徴】
莫大なゲノム情報から短期間に遺伝子配列の差異を見つけ出し、ワクチンを合成します。
そうすることで、個別的かつ患者さまごとに作成するプライベートな生ワクチンになります。
発見が難しい反面、その効果や反応は強く速い事が特徴です。

オンコアンチゲンペプチドワクチン療法

オンコアンチゲンとは、様々ながん種によって特異的に高発現している分子(タンパク質)のことをいいます。

正常細胞には存在しない(あっても少ない)ため、がん細胞の目印となります。

多くの患者さまで使用可能です。同じがん種の方が持っている抗原をもとに選択される「共通型」の人工ワクチンです。

【特徴】
同じがん種に共通するがん関係性遺伝子に由来するもので、普遍的かつ、効果もマイルドで長期的な維持療法や再発予防に適しています。
血液とHLA型で調べる事ができます。発見しやすい分、免疫原性が低く反応は緩徐ですが作成期間が短く、すぐに治療に取り掛かる事ができます。

がんワクチン療法の効果

全身の免疫細胞にがん抗原情報を認識させてがんを攻撃し排除していきます。

効果が発現する期間

がんワクチンが標的の細胞に接着するかどうかで効果発現時期は個人差が生じます。平均的には1ヶ月程度であり、3ヶ月以上経過しても接着しない場合は効果が乏しいと言えます。

効果が持続する期間

一般的には3ヶ月~6ヶ月程度。個人差がございます。

 

※効果発現・持続期間については、ネオアンチゲン、オンコアンチゲンにて大きな差異はございません。

がんワクチン療法が適している人

・早期に治療に取り掛かりたい方:オンコアンチゲン
・解析/作成に時間を要するが、より個人に合わせたワクチン治療をご希望の方:ネオアンチゲン
・体に負担なく、がん細胞を標的とした免疫療法を受けたい方

がんワクチン療法の実施が難しい人

比較的末期の方でも負担なく受けられる治療です。

ネオアンチゲンペプチドワクチンの場合、解析結果でペプチド候補が見つからない場合があり、その際はオンコアンチゲンペプチドワクチンへの変更など、他の治療にスイッチする可能性があります。

がんワクチン療法の副作用

ネオアンチゲンは遺伝子変異によって作られる新たな抗原で、正常細胞には無いたんぱく質の為、自己免疫(自身の正常な細胞を攻撃する現象)を起こす可能性が少ないと考えられています。

欧米でのネオアンチゲンワクチン臨床試験の論文報告でも副作用は無かったことが報告されています。

局所の注射に伴い、注射部位の発赤、硬結、軽度の痛みなどがありますが、ワクチン治療自体での副作用は報告がありません。

皮膚症状に対しては炎症を抑える軟膏を処方いたします。

がんワクチン療法にかかる期間

1週間おきに6コース行うことが標準的です。

最初の3週間は1週間に1度、その後の3週間は2週間に1度など、回数・間隔は医師との相談で決定します。

また、ほかの治療と併用している場合は、主たる治療のスケジュールに合わせて投与間隔を調整致します。

がんワクチン療法の費用

オンコアンチゲン 1種類につき ¥110,000(税込)
ネオアンチゲン 1種類につき ¥110,000(税込)

がんワクチン療法は保険適用できる?

自費診療のみの対応となります。

がんワクチン療法の流れ(ネオアンチゲン)

※ネオアンチゲン解析

ネオアンチゲン療法は遺伝子解析を元にワクチンを作成いたします。

ネオアンチゲン解析についてはこちら

 

 

がんワクチン療法の流れ(ネオアンチゲン投与開始)

①カウンセリング予約(初回来院時)

予約センター(03-3222-1088)までご連絡を頂き、カウンセリング日を決定いたします。

お電話にて持ち物や資料等のご案内をさせて頂きます。

②診察

初回カウンセリングは30分~1時間程度かけて行います。

ご病気や体調面などの詳細を伺いながら検査の実施が必要であればご提案させていただきます。

③バイタルサイン測定

治療室(個室ベッド)に移動して頂きます。更衣などは不要です。

治療前にバイタルサイン測定(体温・血圧・脈拍・酸素)をさせていただき、異常の有無を確認いたします。

④筋肉注射

基本的には臀部の筋肉に2か所注射をいたします。

腫瘍部位の近くにリンパ節がある場合には、なるべく局所的に効果が出るようリンパ節近くの筋肉に注射いたします。

 

※ご希望があれば栄養点滴や高濃度VC点滴等も併用致します。点滴をされる場合は点滴時間(30~40分程度)がかかります。

がんワクチン療法の流れ(オンコアンチゲン作成まで)

①カウンセリング予約(初回来院時)

予約センター(03-3222-1088)までご連絡を頂き、カウンセリング日を決定いたします。

お電話にて持ち物や資料等のご案内をさせて頂きます。

②診察

初回カウンセリングは30分~1時間程度かけて行います。

ご病気や体調面などの詳細を伺いながら検査の実施が必要であればご提案させていただきます。

③HLA採血(初回のみ)

治療にご同意いただけましたら、血液検査(2ml程度)にてHLA検査をさせていただきます。

がん種・HLAの型をもとにワクチンを選択します。

ワクチンの発注・安全性試験には1~2週間要します。

 

※在庫の有無によって期間が異なります。詳しくは医師にご確認ください。

がんワクチン療法の流れ(オンコアンチゲン投与開始)

①診察

初回カウンセリングは30分~1時間程度かけて行います。

ご病気や体調面などの詳細を伺いながら検査の実施が必要であればご提案させていただきます。

②バイタルサイン測定

治療室(個室ベッド)に移動して頂きます。更衣などは不要です。

治療前にバイタルサイン測定(体温・血圧・脈拍・酸素)をさせていただき、異常の有無を確認いたします。

③筋肉肉注射

基本的には臀部の筋肉に2か所注射をいたします。

腫瘍部位の近くにリンパ節がある場合には、なるべく局所的に効果が出るようリンパ節近くの筋肉に注射いたします。

 

※ご希望があれば栄養点滴や高濃度VC点滴等も併用致します。点滴をされる場合は点滴時間(30~40分程度)がかかります。

ワクチン治療の効果を判定する検査

ペプチド活性検査

ペプチド活性検査とはネオアンチゲンペプチド・オンコアンチゲンペプチド治療を施行されている方の治療評価を目的とした検査項目です。

血液中にペプチドワクチンに対する特異的リンパ球が出来ているかどうかを調べます。

 

ペプチドワクチンに対する特異的リンパ球が

など次の手を考えるための指標になります。

対象 ネオアンチゲンペプチド、オンコアンチゲンペプチドの治療を受けられている方。
方法 血液検査(20~60㏄程度の採血量)
結果が分かるまでの期間 4~6週間
評価のタイミング

治療開始1ヶ月後より効果判定可能です。

当院では1クール6回投与とし、画像評価や腫瘍マーカー検査にて効果が乏しい場合、2クール目も同じペプチドを使用するかどうかの指標にする場合があります。

Elispot 解析

Elispot解析とはネオアンチゲンペプチド・オンコアンチゲンペプチド治療を施行されている方の治療評価を目的とした検査項目です。

ヒト末梢血単核球(PBMC)中に存在する細胞傷害性T細胞(CTL)から産生されるIFN-γ を単一細胞レベルで検出し、抗原(ペプチド)特異的な免疫応答を確認します。

など次の手を考えるための指標になります。

がんワクチン療法の注意点

治療後は注射部位局所の炎症反応が起こらないよう、下記についてはお控えいただきますようお願いいたします。

※ネオアンチゲンをご希望されている方でも、解析の結果ワクチン候補が見つからない場合がございます。
その場合は、追加遺伝子解析によって幅を広げてワクチンの候補をお探しすることも可能です。

当院は予約制です はじめての方、お問合せの方、東京以外で受診をお考えの方、まずはお電話ください。