免疫チェックポイント阻害剤
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免疫チェックポイント阻害剤とは
免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体などを含む)とは、がん細胞によって抑制されている免疫細胞を再び活性化させる治療です。
元々、免疫細胞は過剰に免疫が活性化して自己攻撃することを防ぐための「免疫チェックポイント分子」を持っています。
しかし、この分子にがん細胞は結合することができ、免疫細胞ががん細胞を攻撃できないようにしてしまいます(免疫にブレーキをかけるともいいます)。
この、がん細胞が免疫細胞に結合することを防ぐための薬を「免疫チェックポイント阻害剤」といいます。(「抗体薬」と呼ばれる場合もあります)
適した薬剤を点滴で投与します。
点滴時間は30分~40分程度です。※ほかの薬剤と合わせて点滴時間が延びる可能性があります。
代表的な免疫チェックポイント阻害剤一覧
PD-1は免疫細胞であるT細胞上に存在していますが、免疫細胞からの攻撃を避けるためにがん細胞は細胞表面にPD-L1というタンパク質を出現させます。
T細胞上のPD-1とがん細胞上のPD-L1が結合することによってT細胞からの攻撃をストップさせてしまいます。
PD-1とPD-L1が結合するのを防ぎ、T細胞ががん細胞を攻撃できるようする薬が、PD-1、PD-L1抗体薬です。
「抗PD-1抗体」 | ニボルマブ・ベムプロリズマブ |
抗PD-L1抗体薬 | アベルマブ・アテゾリズマブ・デュルバルマブ |
また、他にも代表的な免疫チェックポイント阻害剤として、抗CTLA-4抗体薬としてイピリムマブが挙げられます。
免疫チェックポイント阻害剤の効果
免疫チェックポイント阻害剤の使用により、抑制された免疫応答が活性化し、免疫細胞による抗腫瘍効果が期待されます。
治療の効果は3週間ほど持続し、効果が出るまでに1~3ヶ月程度要します。
免疫チェックポイント阻害剤が効果的な方
プレシジョン検査では、T細胞上のPD-1、CTLA-4がどの程度発現しているか検査をすることができます。
結果に基づき、より効果が見込める薬剤を選択しています。
※検査の結果により、免疫チェックポイント分子が発現していない方は期待する効果を得られない場合があります。
免疫チェックポイント阻害剤の副作用
免疫チェックポイント阻害剤は、従来の殺細胞性の抗がん剤とは異なる作用機序を持つため、副作用も異なります。
一般的に、免疫チェックポイント阻害剤による免疫解除に伴う副作用は、免疫のブレーキが外れて免疫反応が過剰になることで起こります。このような副作用は自己免疫疾患に類似症状を呈しているのが特徴です。
免疫チェックポイント阻害剤の副作用では、皮膚、消化器系、内分泌系、神経系など、全身のあらゆる臓器に炎症性の免疫反応が発現することが報告されています。
※副作用症状の図を追加 例:https://www.immunooncology.jp/medical/io-resources/basic/irAE
免疫チェックポイント阻害剤の費用
抗PD-1抗体(ニボルマブ) ¥8,800/1mg(税込)
抗CTLA-4抗体(イピリムマブ) ¥55,000/1mg(税込)
免疫チェックポイント阻害剤は保険適用できる?
現在日本で保険適応として免疫チェックポイント阻害剤を使用できるのは悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫などです。
治療が行えるがんの種類はそれぞれの免疫チェックポイント阻害薬によって異なるので、担当医に尋ねてみてください。
免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療の流れ(治療計画を立てるまで)
①カウンセリング予約
予約センター(03-3222-1088)までご連絡を頂き、カウンセリング日を決定いたします。
お電話にて持ち物や資料等のご案内をさせて頂きます。
②診察
初回カウンセリングは30分~1時間程度かけて行います。
ご病気や体調面などの詳細を伺いながら検査の実施が必要であればご提案させていただきます。
③プレシジョン検査(ご希望があれば)
各免疫チェックポイント阻害剤に対する有効性を判断するために、プレシジョン検査を行います。
プレシジョン検査を行う場合は、血液を10~20cc程度採血させていただきます。
他院でMSIテスト等を行っている場合には結果をご持参ください。
末期の方で検査結果を待つ事が難しい患者さまには少量のみ薬剤を使用して治療を行うケースがございます。
治療の実際の流れ
①カウンセリング
治療前に30分程度医師の診察がございます。
また、2回目以降の場合は前回治療後の副作用の程度などをヒアリングいたします。
②尿検査・レントゲン検査
尿検査・胸部レントゲン撮影を行い、副作用(腎機能障害や呼吸器の異常の有無)の程度を把握し治療可能か医師が判断いたします。
③治療開始
治療室(個室ベッド)に移動し、治療を開始いたします。
- バイタルサイン測定
- 血液検査
- 抗アレルギー薬の内服(もしくは点滴)
- 免疫チェックポイント阻害剤の投与:30分程度(※ビタミン製剤など、他薬剤も併用して投与する場合がございます。)
- 抜針
- 処方薬のお渡し(※万が一自宅にて副作用症状が出現した場合にすぐに対処できるよう、必要に応じて抗アレルギー薬、免疫抑制薬、皮膚症状に対する軟膏等お渡ししています。)
④帰宅
治療費のお支払いをして頂き、終了になります。
免疫チェックポイント阻害剤の注意点
治療後、特に活動制限などはございません。
しかし、副作用リスクのある治療ですので、前もって必要薬剤はお渡ししますが、何か症状があれば早急にクリニックまでご連絡下さい。