がんの自然死(アポトーシス)について(6)アポトーシスの抑制原因・IAPファミリーと今後のがん治療の可能性(後編)

前回、アポトーシスの抑制に、IAPファミリーというカスパーゼ活性阻害タンパク質が
関与していること、そしてがん細胞ではこのIAPファミリーが過剰発現していることを
ご説明しました。

この点に着目したがん治療薬が生まれつつあります。
その一つが、IAPファミリーの一つ、XIAPに関係する薬です。
XIAPは数種類のカスパーゼ(カスパーゼ3、9)を強力に阻害します。
そこで、XIAPのカスパーゼ阻害活性を抑える「XIAP阻害剤」が開発されています。

この薬には抗がん剤などのアポトーシス作用を増強したり、
がん細胞のアポトーシスを誘導する作用が期待できます。
マウス実験では、腫瘍内部でのカスパーゼ活性化と増殖阻害が確認されています。

子宮頸がんや食道がん、肺がんなどではIAPファミリーのcIAP1が多くみられます。
そこで、このcIAP1を標的にしたIAP拮抗薬の開発が進んでいます。

そして、IAPファミリーをターゲットにする免疫療法も登場しています。
IAPファミリーの一種・Survivin(サバイビン)もやはり、
正常細胞よりもがん細胞で多くみられるという特徴があります。
しかも、がん患者にはこのSurvivinを認識するキラーT細胞があることがわかってきました。
そこで、Survivinをターゲットにするペプチドワクチン療法が生まれ、
これからの治療として注目を集めています。

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