がんとテロメア(4)不老化細胞とテロメラーゼの関係

死を迎えず無限に増殖する不老化細胞があるというお話をしてきました。
それでは不老化細胞のテロメアはどうなっているのでしょうか?

ウイルス感染して分裂寿命が延びた細胞を調べたところ、テロメアは依然として
短縮し続けていました。
ところが、クライシス後に出現した不老化細胞では、テロメアは短縮していません。

これは「テロメラーゼ」というテロメア合成を司る酵素が活性化していることで、
テロメアが安定化しているためです。
つまり、テロメラーゼ活性によってテロメアの長さは保たれているのです。

このようなテロメラーゼ活性は人工的にがんウイルスで不老不死化された細胞株だけに
あるわけではありません。生殖細胞でも見られます。
(ただし、成熟した精子や卵子では消失しています)

また、血液・皮膚・消化器などの幹細胞は弱いテロメラーゼ活性を持っています。
そして、がん患者さんのがん細胞でもテロメラーゼ活性があるのです。
一方で、ほかの正常な細胞ではテロメラーゼ活性はほとんどみられません。
これらのことから、テロメラーゼ活性はテロメア長を保つ働きがあると考えられます。

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