がんの自然死(アポトーシス)について(7)アポトーシスの抑制原因・BCL2ファミリーと今後のがん治療の可能性(前編)

前回、前々回にアポトーシスを抑制する因子にIAPファミリータンパク質がある
というお話をしました。
アポトーシスを抑制する因子として、ほかに「BCL2ファミリー」というタンパク質があります。

BCL2ファミリーはさらに、
アポトーシスを妨げるBCL2サブファミリー(BCL2、BCL-XLなど)と、
アポトーシスを促進するBAXサブファミリー・BH3サブファミリーの3つの群に
分けることができます。
この3つがバランスをとりながら働くことで、アポトーシスをコントロールしていると
考えられています。

このバランスが崩れ、BCL2サブファミリーに属するBCL2、BCL-XLなど
アポトーシスを阻害するタンパク質が過剰に増えてしまうと、厄介なことに
細胞ががん化する大きな要因になってしまうのです。

BCL2はリンパ腫や小細胞肺がん、大腸がんなどさまざまながんで異常増殖していることが
わかっています。
また、BCL-XLは肺がん、肝がん、食道がんなどのがんで多くみられます。
しかも、BCL-XLの発現量が多いほど、抗がん剤への耐性を示すことも報告されています。

つまり、BCL-XL過剰発現はがんを招くだけでなく、化学療法など治療の妨げにも
なっている
のです。

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