前回、前々回にアポトーシスを抑制する因子にIAPファミリータンパク質がある
というお話をしました。
アポトーシスを抑制する因子として、ほかに「BCL2ファミリー」というタンパク質があります。
BCL2ファミリーはさらに、
アポトーシスを妨げるBCL2サブファミリー(BCL2、BCL-XLなど)と、
アポトーシスを促進するBAXサブファミリー・BH3サブファミリーの3つの群に
分けることができます。
この3つがバランスをとりながら働くことで、アポトーシスをコントロールしていると
考えられています。
このバランスが崩れ、BCL2サブファミリーに属するBCL2、BCL-XLなど
アポトーシスを阻害するタンパク質が過剰に増えてしまうと、厄介なことに
細胞ががん化する大きな要因になってしまうのです。
BCL2はリンパ腫や小細胞肺がん、大腸がんなどさまざまながんで異常増殖していることが
わかっています。
また、BCL-XLは肺がん、肝がん、食道がんなどのがんで多くみられます。
しかも、BCL-XLの発現量が多いほど、抗がん剤への耐性を示すことも報告されています。
つまり、BCL-XLの過剰発現はがんを招くだけでなく、化学療法など治療の妨げにも
なっているのです。