キラーT細胞はがん細胞の表面にあるペプチド(抗原)を標的として、
がん細胞のみを攻撃します。その性質を生かし、がんペプチドを人工的につくって
投与するのが、がんペプチドワクチン療法です。
がん幹細胞はがん特有の特徴を持っているので、がんペプチドワクチン療法が
効きやすいのです。
例えるなら、樹状細胞やリンパ球は自動車で、がんペプチドワクチンは運転手のようなもの。
腕のいい運転手がいるからこそ高性能な自動車はがん幹細胞という目的地に到着することが
できるのです。
当院でも樹状細胞やリンパ球にがんペプチドワクチンを搭載して戻す治療を行っていますが、
治療成績は以前に比べて上がってきていると感じています。
現在、世界中の製薬会社ががんペプチドワクチン薬の開発を競って進めています。
そのうちのいくつかは、1~2年以内に認可されるといわれています。
このことからも、全世界的な流れは免疫療法になってくるといえるでしょう。
ただし、前回紹介したスルファサラジンもがんペプチドワクチンもまだまだ新しい治療法なので
その実力は未知数といえます。これからの流れを注視する必要があります。