前向きながん治療・抗がん剤との付き合い方(6)抗がん剤の限界(前編)

抗がん剤は一般的に、最初に投与してから3ヵ月から半年くらいまではよく効きます。
しかしその後は効果が薄れ、それどころかがんを増悪化させてしまうことがあるのです。
これを「がんの耐性獲得」といいます。

こうしたことがなぜ起こるのかというと、がんの持つmdr-1という耐性遺伝子のせいです。
このmdr-1はがんの中に入ってきた抗がん剤を吐き出すポンプのような役割をしています。
抗がん剤をすればするほどこのポンプの働きが強くなって、どんどん吐き出してしまうのです。

そうなってしまうと、抗がん剤はがんには機能しなくなり、正常細胞を傷つけるという
副作用だけが残ることになります。つまり、抗がん剤の殺人兵器の毒性の部分しか、
残らなくなるのです。

その患者さんに抗がん剤があまり効かないのであれば、
使わない方がよかった…ということも起こりうるわけです。

しかしみなさんは、「たとえ一種類の抗がん剤が効かなかったとしても、別のものに変えて
治療を続ければ効果は出るのではないのか」と、お考えになるでしょう。

ところがそうはいかないのです。

それは抗がん剤を変えたとしても、がんの増悪化を止めることはできないからです。
その理由については次回詳しく説明しましょう。

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